yumegakureblogの日記

日日是好日…のたりのたりかな

続紫野綺譚その14 [MURASAKINO]      夢幻は無限へと


この話はバーチャル世界🌍️の
続き話の最終話になります。


          ☆     ☆     ☆
真幸は太郎と
追っ手のサンタナが時空間移動で居なくなると
隠れていた木陰から出てきた。

それから、
太郎が再びこの世界へ
舞い戻って来た時の為の
準備を始めた。

問題は
太郎と落ち合う為の移動手段を
確保する事であった。

場所が離れていた場合は
電車や車での移動が
基本ではあるけれど、
初めてのコロナ禍の中では
タクシーは
殆ど動いていなかった。

空気感染で発病するという事で
密室となるタクシーへ乗車する
お客はいなかった。

その為、タクシー業界は
走車数が殆どなかった。

電車に関しても
乗客が居なくなり、
間引き運転は勿論の事、
終電車の切上げ時間も
大幅に以前より早まっていた。

電車が走っている時間帯で
あったとしても、
いつ電車来るかはわからない。

この場合、
どうしても確実に時間が
読める乗り物が必要であった。

真幸は
砂風社長の事務所のあるビルへと向かっていた。

そこには
従業員のユイと太郎が
移動の際に使用していた
自転車が一台常備されている
話を思い出したのだ。

ビルの前に着き事務所の階を
見上げると
まだ明かりが灯っていた。

真幸は思い切って
(夢の宅配便)夢幻の看板のある
部屋のインターホンを押した。

インターホンの中から
若い頃のユイの声が
聞こえてきた。


太郎は
最後の長い時空間移動を終え、
真幸の居る世界へと
帰って来た。

しかし、
既に力を使い果たしてしまい
到着するなり、
道へ倒れ込んだ。

それでも
回りを見渡すと
こんもりした木々に覆われた
アスファルトの路上だった。

鈍い明かりの外灯が
所々に灯っていた。

直ぐ傍に
何かの台座のような場所が
あったので、
その裏影へと移動すると
へたり込んだ。

真幸宛に
この世界へ舞い戻って来た
という暗号を送るなり、
首をうなだれて
深い眠りついていった。


真幸は
何とか自転車を少し借りたい
為にユイと
交渉していた。

最初、
ユイは非常に驚いたが、
今朝方、
スタバ☕😌✨で会った時に
太郎から
紹介を受けていたので、
一応、話を聞いていた。

それよりも
この場に太郎が居ない事の方が
ユイには不安であった。

そのやり取りをしている
最中に
太郎からの暗号連絡が入り、
真幸は思わず
ユイの前にも関わらず
声を上げてしまった。

太郎くんが
今、帰還した…❗

この場所から、
約5キロメートル位か。

歩けば小一時間だけど、
自転車だと約20分程度。

ユイさん❗
申し訳ないけれど、
詳しく話している時間が
ありません❗

早く、行かないと
太郎くんが危険だ❗

急いで自転車の鍵を
貸して下さい❗

慌ててユイが自転車の鍵を
差し出すと
奪うように受けると
階段を駆け下りた。

その背中に
後で連絡下さいね❗
というユイの声が聞こえた。

敵が太郎の居場所まで
たどり着いつくより先に
太郎の居る場所へ着かないと
太郎が本当に危ない❗

真幸は形相を変えて
自転車へ飛び乗った。

ユイは茫然として
階段の上で
立ち尽くしていた。

サンタナは太郎を追って
再び、
この世界へ帰って来た。、

月も見えない暗い闇の中で
白い街路灯が
所々に灯っていた。

木々に覆われた
静かな場所だった。

サンタナも疲れてはいたが、
手を抜いただけに
太郎ほどの疲労感はない。

それに、
サンタナの身体の一部は
サイボーグ化されていた。

更に
時空間を移動する経験値が
豊富だったので、
太郎と比較すると
心にも余裕があった。

帰ってくるなり、
太郎の居場所を確認した。

太郎は同じ場所で
停止していた。

サンタナはニヤリと笑った。
この感じだと
焦ることはあるまい。
この勝負は
俺の勝ちだな❗

15~20分ほど歩けば、
太郎に追いつけるだろう。

しばらく
木々の間を歩いて行くと
少し開けた場所に出た。

思った以上に
かなり広々とした所だった。

両脇に木々が立ち並んだ
幅広い広場の間に
人工池が設備された
公園だった。

更に公園を歩いていると
途中で大きな十字路があった。

そこで一度停止して
太郎の居場所を確認した。

十字路を左に曲がり、
しばらく歩くと
建物が見えてきた場所で
今度は右に曲がり、
木々の生い茂った細い道に
入って行った。

その頃、
真幸は
必死で自転車を走らせていた。

コロナ禍で車は
極端に少なかったが
信号機は
そのまま点滅していた。

その為
交通量は少ないのに
なかなか前に進まないので、
途中から路線を
脇道に変更していた。

木々の間の細い道を
歩き抜けると
再び
少し広い場所へ出た。

太郎の居場所は
もう間近だった。

木々の端に設置された
何やら
銅像のような台座の裏影辺りで
じっとしたままであった。

小僧❗
ついに見つけたぞ❗

サンタナはそう言うと
太郎の服の襟首を掴み、
太郎の身体ごと
月明かりが出てきた表へと
引き摺り出し
路上へ放り投げた。

月明かりの下で
太郎は
冷たいアスファルトの上を
転がっていった。

更に
太郎の身体を無理矢理に
起こし上げると
顔に
一発の重いパンチを加えた。

その衝撃で
太郎のペンダントの御守りの
チェーンがちぎれて、
御守りだけが宙に舞った。

御守りは
宙に舞って
月の光を浴びた瞬間に
キラキラとした
不思議な輝きを放ち始めた。

その明かりが
台座の上の銅像らしき物の顔を
一瞬照らした。

偶然、
殴り終えたサンタナ
その方向に顔を向けていた。

不意にその映し出した
銅像の顔を見て
思わず
サンタナは驚愕した。

クルクルと宙に舞いながら
アスファルトの上に落ちた
金属製の御守りが
一層、輝きながら
大きくバウンドすると、
再び
クルクルと宙を舞いながら
色々な方角へ
閃光を放った。

驚愕して
サンタナの見開いた目に
向かって
いきなり光が飛び込んできた。

青白い光が一筋
サンタナの目に射し込んだ瞬間
鋭い痛みが
身体を突き抜けた。

痛みに耐えかね
苦痛の声を上げた。

苦悶の表情で
目を抑えながら
[さ、い、ご、う、さん…]
とフラツキ歩きながら
何度も呟いていた。

やっと
真幸が目的地の下まで
汗だくになって
たどり着いた。

すぐさま、
自転車を乗り捨て
太郎の居場所へ向かった。

その場所は
高台にあるようで
長い石段が続いていた。

その石段を
2段飛びで駆け上がった。

石段を登りきると
広場に出た。

その瞬間、
一筋の青白い閃光が
宙をクルクルと舞っているのを真幸は目にした。

そして、
青白い閃光は
立っていた
男の目を貫いた。

男はギャーと大声を上げた。

それに驚いて
ワーッと
真幸も声を上げていた。

男は
(さ、い、ご、う、さ、ん)
と何度も
うめき声を上げながら
真幸の方に
だんだんと近づいてきた。

真幸は
路上に転がって
点滅している御守りの明かりと
月明かりで
道に転がった太郎を見つけた。

そして、
フラフラと
近づいて来た男を
かわすと
太郎の方に近寄った。

太郎を抱き起こした時に
男の悲鳴が
真幸の耳に聞こえてきた。

目をやられた男は
真幸が駆け上がって来た
長い石段を踏み外して
真下まで
転げ落ちたようだった。

真幸の
時計型⌚コンピューターで
確認すると
敵の姿は画面上で
点滅していた。

最早、
あの男は長くは生きられまい。
すると
あの男が
サンタナだったのか❗

敵が居なくなると
真幸は
砂風の事務所にいるユイに
至急、車を手配して貰うように
依頼した。

それから
真幸はすっかり光を失った
太郎の御守りを拾い上げると
太郎の上着のポケットの中へ
入れ込んだ。

あの御守りが放った閃光は
何だったのだろうか❓️

考えても真幸には
理解出来ず、
ただ
月明かりの下で
車が来るのを待っていた。


しばらくすると
ユイから連絡を受けた砂風が
車でやって来た。

二人で太郎の肩を抱きかかえ
石段を下りていった。

しかし、
石段の下には
転げ落ちたはずの
サンタナの姿は既になかった。

真幸は
コンピューターの画面上から
消えた事を考えると
サンタナのいた組織が
この時代から
サンタナを撤収したのかも
知れないとも考えた。

理由はどうであれ
二人が生き延びた事だけは
事実であった。

車の中で
真幸は砂風に太郎が
このようになった理由を
全て話した。

それは、
既に以前来ている太郎と
息も絶え絶えの太郎が
同時空間で遭遇するのを
避ける事が目的であった。

同一人物が同一の時空間で
遭遇すると何が起こるのか❓️
想像が出来なかった。

砂風は
真幸の言葉を半分は
理解してくれた。

直ぐに
以前からこの世界にいる太郎に
連絡を入れて、
ホテルへ泊まるように
指示してくれた。

息も絶え絶えの太郎を
砂風の部屋へ届けた後で、
真幸はホテルへ向かい
以前から来ている太郎に会って
理由を告げた。

真幸が二人に全ての理由を
語ったのは、
真幸達がこの世界から
元の世界へと戻った瞬間に
この時代の人達は
二人の存在を全てを
忘れ去ってしまう❗
その事を
真幸が知っていたからだった。

それは
夢か幻のようでもあった。



太郎は
砂風のマンションの
太郎の部屋へ運ばれた。

ユイと
砂風の友人の(安奈わかば)が
部屋で待ち構えていた。

安奈わかば
精神科の医者であったが、
砂風から内密に患者を
診て欲しい❗
との依頼があった時は
専門外だからと
一度、断った。

しかし、
患者が砂風が
懇意にしていた太郎だ、
と聞いて
やるだけやってあげよう❗
と引き受けてくれた。

太郎がベッドに横たわり
検査をすると
安奈先生は
直ぐに
点滴の準備を始めた。

ベッドの反対側に居た
ユイが太郎の手を握ると
ママ❗
ママ❗
と小さな声を太郎が上げた。

ユイは戸惑いながら
こんなに大きな子供は
私にはいませんよ❗

と太郎に呟いた。

真幸は
そのやり取りを見ている内に
一筋の涙が
頬を溢れ落ちていた。

こんな
二人の出来事も
やがて
夢か幻に
なってしまうのだろう。

そんな儚さも
真幸は感じていた。



京都大原の[美々白百合旅館]の
サキに
真幸から
連絡が入ったのは
太郎が大丈夫だと
判断されてからであった。

サキは
最初は憤慨したが、
太郎が無事だ…❗
と聞いて涙を流して喜んだ。

その償いにと
真幸は
サキと太郎のパソコン🖥️で
のTV通話を可能にさせた。

今、この時が
夢や幻であったとしても
出来る限りの事は
やってあげたい❗
真幸はそう思っていた。

だから、
その場には
若い時のユイも呼んでいた。

ただし、
サキには
時代が異なっている事は
絶対に言わないようにと
念を押していた。

太郎とサキ、
若いユイの3人で
写真を撮ったりもしていた。

その時に
若いユイがサキに向かって
太郎さんっていったらね❗
おかしいのよ❗
私の事をママだ…❗
と言ったのよ❗
と教えてくれた。

サキは
その言葉を聞いた時に
涙が出そうになったが、
我慢していた。

やがて、
太郎が何とか
動けるようになった頃、
砂風が一人の女の子を
連れて来て
太郎に紹介した。

この子は
今度、
私の養女にしょうと思っている
(天野フユ)さんだよ❗

太郎と一緒の部屋に居た
真幸はビックリした顔で
その少女の姿を
じっと見詰めていた。

母さんの若い頃の
それこそ本物だ❗

そうか❗
母さんから
この長い話の全てが
始まったのだった…❗

真幸は
そう思った。


京都大原の
[美々白百合旅館]は
その日は
朝から
賑やかになりそうだった。

久しぶりに
長女のユメが
孫連れて来るのだ。

孫のお相手は
主人の銀太と決まっている。
だから、
銀太は
昨夜からソワソワしていた。

居間に飾ってある写真の中の
女将の母親の摩耶も
なんだか
いつも通りの
落ち着きがないようだ。

加えて
次女のサキも
明日にでも
太郎が帰還するというので
喜び溢れていた。

白百合旅館の女将薫は
いつも通りに
三千院へお参りした時に
空を見上げた。

そこには
空一面、
どこまでも
無限を感じさせられるような
青さが拡がっていた。

          (完)

ここまで
長い話を読んで頂きまして
ありがとうございます。

これで
このお話は全て完了致します。

2年間にも及ぶ
長い間、
どうも
ありがとうございました。

m(_ _)m



この話はバーチャル世界🌍️の
話であり、
登場人物はblog世界とは
一切関係ありません。